和牛の格付けとは?A5ランク・BMSや等級の見方をわかりやすく解説

和牛の「A5ランク」や「BMS10」といった表示を見て、「数字が高いほどおいしいの?」「A5とA4は何が違うの?」と疑問に感じたことはありませんか。和牛でよく見かける格付けには歩留等級と肉質等級があり、さらに肉質等級の評価にはBMSを含む複数の基準が使われます。
結論からいうと、A5の「A」は枝肉から取れる肉の量、「5」は肉質の評価を表しており、BMSは肉質を判定する項目の1つにすぎません。今回の記事では、和牛の格付けの仕組みから、歩留等級A〜C、肉質等級1〜5、BMSの見方、A3・A4・A5の違いまで順番に解説します。あわせて、等級が高ければ必ず好みに合うとは限らない理由や、日本とオーストラリアで使われる評価基準の違いにも触れます。
飲食店や精肉店で和牛を選ぶ際に、表示の意味をきちんと知っておきたい方は、ぜひ参考にしてください。
和牛の格付けの仕組み
和牛でよく見かける「A5」「A4」などの表示は、公益社団法人日本食肉格付協会が定める牛枝肉取引規格にもとづく格付けです。格付けは、同協会の格付員が食肉卸売市場などで、枝肉を第6〜第7肋骨の間で切り開いた断面を確認して行います。
アルファベットは歩留等級、数字は肉質等級を表しており、それぞれ別の評価です。2つを組み合わせることで、その枝肉の特徴を示しています。
歩留等級A〜C
歩留等級は、枝肉からどれくらいの部分肉を得られると見込まれるかを示す評価です。A・B・Cの3段階に分かれ、原則として歩留基準値が72以上ならA、69以上72未満ならB、69未満ならCとなります。Aは部分肉歩留が標準より良いもの、Bは標準、Cは標準より劣るものという位置づけです。
歩留基準値は、胸最長筋(ロース芯)の面積や「ばら」の厚さ、冷と体重量、皮下脂肪の厚さを用いて算出します。和牛4品種とその交雑牛については、算出した値に2.049が加算される仕組みで、和牛にA等級が多い理由の1つになっています。ただし、基準値だけで機械的に決まるわけではなく、筋間脂肪が相対的に厚い場合などは1等級下へ補正されることがあります。
つまり、Aという文字は「味が良い」「サシが多い」ことを示すものではありません。歩留等級は、あくまで枝肉から得られる部分肉の割合に関する評価です。
肉質等級1〜5
肉質等級は、牛肉の肉質を1〜5の5段階で示したものです。数字が大きいほど規格上の評価が高く、5が最も高い等級になります。
肉質等級は、脂肪交雑、肉の色沢、肉の締まり・きめ、脂肪の色沢と質という4項目をもとに決まります。数字は、単純な霜降り量の順位ではありません。
歩留等級3段階と肉質等級5段階を組み合わせるため、格付けは全部で15通りあります。
| 肉質5 | 肉質4 | 肉質3 | 肉質2 | 肉質1 | |
| 歩留A | A5 | A4 | A3 | A2 | A1 |
| 歩留B | B5 | B4 | B3 | B2 | B1 |
| 歩留C | C5 | C4 | C3 | C2 | C1 |
なお、牛枝肉取引規格は和牛だけの専用制度ではありません。子牛を除き、品種や年齢、性別にかかわらず、対象となる牛枝肉すべてに適用されます。
和牛の肉質等級の評価項目と決まり方

肉質等級では、見た目の霜降りだけを評価しているわけではありません。4つの項目をそれぞれ判定し、その結果から最終的な肉質等級が決まります。各項目で何を、どこで見ているのかを整理すると次の通りです。
| 評価項目 | 主な指標 | 判定する部位 |
| 脂肪交雑 | BMS(No.1〜No.12) | ロース芯などの断面 |
| 肉の色沢 | BCS(No.1〜No.7)と光沢 | ロース芯などの断面 |
| 肉の締まり・きめ | 格付員による判定 | ロース芯などの断面 |
| 脂肪の色沢と質 | BFS(No.1〜No.7)と光沢・質 | 皮下脂肪や筋間脂肪など |
脂肪交雑とBMS
脂肪交雑とは、赤身の中に脂肪が入り込んだ、いわゆる「サシ」の状態を指します。その程度を判定する基準がBMS(Beef Marbling Standard)で、No.1〜No.12までの12段階に分かれています。数字が大きくなるほど脂肪交雑が多いことを示します。
| 肉質等級 | BMS |
| 5 | No.8〜No.12 |
| 4 | No.5〜No.7 |
| 3 | No.3〜No.4 |
| 2 | No.2 |
| 1 | No.1 |
「BMS12」と表示されていても、「肉質等級12」という意味ではありません。BMSは脂肪交雑の項目で使われる指標で、肉質等級そのものは1〜5で表されます。
肉の色沢
肉の色沢では、赤身の色と光沢を組み合わせて評価します。肉色の判定にはBCS(Beef Color Standard)と呼ばれるNo.1〜No.7の色見本が使われ、光沢は格付員が断面を見て判定します。
色が濃ければ濃いほど良いわけではない点が、この項目の特徴です。5等級の肉色はBCS No.3〜No.5が基準で、色が淡すぎても濃すぎても上位の等級にはなりません。さらに光沢も「かなり良い」と評価される必要があります。
肉の締まり・きめ
肉の締まり・きめは、断面を見ながら格付員が判定する項目です。「締まり」は肉の状態がどの程度締まっているか、「きめ」は筋肉の組織がどの程度細かいかを表します。
BMSやBCSのような番号付きの見本はなく、5等級は「締まりがかなり良く、きめがかなり細かい」、4等級は「やや良い・やや細かい」、3等級は「標準」というように、段階的に判定されます。霜降りや色とは異なる角度から肉質を見る項目です。
脂肪の色沢と質
脂肪の色沢と質では、脂肪の色に加えて、光沢や質もあわせて評価します。脂肪色の判定にはBFS(Beef Fat Standard)というNo.1〜No.7の基準が使われ、5等級の場合はBFS No.1〜No.4で、光沢と質が「かなり良い」と評価されることが必要です。
脂肪交雑が赤身の中にどの程度サシが入っているかを見るのに対し、この項目では皮下脂肪などを見て、脂肪そのものの状態を判定します。
最も低い評価による最終等級
肉質等級を決めるうえで重要なのが、4項目のうち最も低い等級が最終的な肉質等級になるというルールです。たとえば、脂肪交雑・肉の色沢・脂肪の色沢と質が5等級でも、肉の締まり・きめが4等級なら、最終的な肉質等級は4になります。
どれか1つの項目だけが高くても、ほかの評価を補うことはできません。肉質等級5になるのは、4項目すべてが5等級の基準を満たした場合だけです。
A5ランクの意味とA3・A4との違い
A5は、歩留等級Aと肉質等級5を組み合わせた、日本の格付けで最も高い区分です。ただし、A5の中にもBMSの幅があり、A4やA3との違いも数字1つでは見えにくい部分があります。
A5ランクの条件
A5ランクは、歩留基準値が72以上で歩留等級A、かつ肉質等級5となった枝肉に付けられる格付けです。肉質等級5になるには、脂肪交雑・肉の色沢・肉の締まり・きめ・脂肪の色沢と質の4項目すべてが5等級の基準を満たす必要があります。
脂肪交雑については、BMS No.8〜No.12が5等級の範囲です。そのため、同じA5でもBMS8とBMS12ではサシの入り方に差があります。当店「久成」では、A5等級の中でもBMS10以上のまつなが和牛を使用しています。
A3・A4・A5の違い
A3・A4・A5は、いずれも歩留等級がAで、違いは肉質等級です。日本食肉格付協会の牛枝肉取引規格では、4項目それぞれに次のような基準が定められています。
| 格付け | 脂肪交雑(BMS) | 肉の色(BCS) | 締まり・きめ | 脂肪の色(BFS) |
| A5 | No.8〜No.12 | No.3〜No.5 | かなり良い・かなり細かい | No.1〜No.4 |
| A4 | No.5〜No.7 | No.2〜No.6 | やや良い・やや細かい | No.1〜No.5 |
| A3 | No.3〜No.4 | No.1〜No.6 | 標準 | No.1〜No.6 |
※肉の色・脂肪の色は、光沢や質の評価もあわせて判定されます。
等級が上がるほど、サシの量が多くなるだけでなく、肉や脂肪の色の許容範囲が狭くなり、締まりやきめにも高い水準が求められます。A4はA5よりサシがやや控えめな一方で、赤身の風味とのバランスを好む人も少なくありません。
格付けの確認方法
国内で飼養された牛には、10桁の個体識別番号が付けられています。この番号を家畜改良センターの「牛の個体識別情報検索サービス」に入力すると、品種や出生年月日、飼養地などの履歴を確認できます。
格付けの結果は、枝肉に押される等級印や、取引時の格付明細などで管理されています。飲食店や精肉店によっては、格付けや銘柄の証明書を店内に掲示している場合もあるため、気になるときはお店に尋ねてみるとよいでしょう。
和牛の等級とおいしさ・価格の関係

格付けは和牛を選ぶときに役立つ情報ですが、「高い等級ほど誰にとってもおいしい」「価格は等級だけで決まる」と考えるのは適切ではありません。格付けが示す特徴と、実際に食べたときの好みや販売価格は分けて考える必要があります。
等級とおいしさの関係
肉質等級は、定められた基準に沿って枝肉の特徴を評価した結果であり、個人の「おいしい」という感覚を点数化したものではありません。牛肉のおいしさには味や香り、食感などが関わるほか、食べる人の好みによって評価も変わります。
霜降りが豊富な肉を好む人もいれば、脂が控えめで赤身の風味を感じやすい肉を好む人もいます。さらに、同じ格付けでも部位によって脂の入り方や食感が異なり、厚さや焼き加減によっても印象は変化します。格付けは、牛肉の特徴を知る目安の1つとして活用するとよいでしょう。
等級と価格の関係
和牛の枝肉市場では、A5やA4など上位等級の方が、A3やA2より高値で取引される傾向があります。そのため、格付けは店頭や飲食店での価格にも関係する要素の1つです。
ただし、実際の販売価格は等級だけで決まりません。銘柄や産地、部位、希少性、仕入れや流通、提供方法なども価格に影響します。同じA5でも価格が異なるのは珍しいことではないため、銘柄や部位もあわせて確認しましょう。
日本とオーストラリアの格付けの違い
海外のWagyuでは、「MB8」「MB9」といった日本とは異なる表示を目にすることがあります。日本とオーストラリアでは牛肉を評価する制度や数値の意味が異なるため、数字だけを並べて比較するのは適切ではありません。
オーストラリアのマーブリング評価
オーストラリアでは、AUS-MEATの基準で脂肪交雑を0〜9のマーブリングスコアとして評価します。数字が大きいほど、評価部位で確認される筋肉内脂肪が多いことを表します。日本のBMS No.1〜No.12とは、数字の範囲だけでなく評価基準も同じではありません。
流通や商品表示では「MB9+」といった表現を見かけることもありますが、AUS-MEATの公式なマーブリングスケール自体は0〜9です。
また、オーストラリアにはMSA(Meat Standards Australia)による評価もあります。MSAのマーブリングスコアは100〜1190で、脂肪交雑の量だけでなく分布や細かさも考慮します。MSAは部位ごとの食味品質を予測・評価する仕組みであり、AUS-MEATのマーブリングスコアとは役割が異なります。
日本との評価基準の違い
日本では、歩留等級A〜Cと肉質等級1〜5を組み合わせてA5やB4などの格付けを付けます。一方、オーストラリアではAUS-MEATやMSAなど複数の制度が使われており、日本のA5〜C1と同じ表示体系ではありません。
| 項目 | 日本 | オーストラリア |
| 脂肪交雑の主な指標 | BMS No.1〜No.12 | AUS-MEAT 0〜9、MSA 100〜1190 |
| 枝肉の評価 | 歩留等級と肉質等級を組み合わせて表示 | AUS-MEATで複数の枝肉特性を評価・記録 |
| 食味品質の評価 | A5〜C1は食味そのものの点数ではない | MSAで部位ごとの食味品質を予測・評価 |
そのため、「オーストラリアのMB9=日本のBMS9」「MB9=A5」と単純に置き換えることはできません。海外のWagyuを比較するときは、数字の大小だけでなく、どの制度にもとづく何の数値なのかまで確認しましょう。
和牛の格付けに関するよくある質問

最後に和牛の格付けに関するよくある質問と回答を紹介します。
A5ランクのBMS12が最高の和牛ですか?
格付けの規格上は、A5の中でもBMS12が最も脂肪交雑の多い区分です。ただし、BMSはサシの量を示す指標であり、おいしさの順位ではありません。脂の多さを好むかどうかは人によって異なるため、BMS12が誰にとっても最高とは限りません。
A5ランクの牛肉はすべて和牛ですか?
すべてが和牛とは限りません。牛枝肉取引規格は品種にかかわらず適用されるため、和牛以外の牛にもA5の格付けが付くことはあります。実際にはA5の多くが黒毛和種ですが、和牛かどうかは品種表示や個体識別番号で確認しましょう。
神戸牛はA5でなければいけませんか?
神戸牛の認定条件は、歩留等級がAまたはB、肉質等級が4以上、BMS No.6以上などです。そのため、A5だけでなく、A4やB4、B5の神戸牛もあります。ブランド牛の条件は格付けとは別に定められている点に注意しましょう。
A4とA5で味はどのくらい違いますか?
A5はA4よりサシが多く、肉や脂肪の色、締まり・きめにもより高い基準が求められます。そのため、A5は脂の甘みや口どけを強く感じやすい傾向があります。一方で、A4は赤身の風味とのバランスが良いと感じる人もおり、どちらを好むかは食べる人によって異なります。
まとめ | 和牛の格付けを知って選び方に役立てよう
和牛でよく目にするA5やA4などの格付けは、歩留等級A〜Cと肉質等級1〜5を組み合わせたものです。肉質等級は脂肪交雑だけでなく、肉の色沢、締まり・きめ、脂肪の色沢と質も含めて判定され、4項目のうち最も低い評価が最終等級になります。BMSはサシの程度を示す指標であり、A5そのものを意味する数字ではありません。
格付けは牛肉の特徴を知る目安になりますが、好みや価格は等級だけでは決まりません。日本とオーストラリアでも評価方法は異なるため、数字が何を表しているかまで見ることが大切です。
京阪「祇園四条駅」から徒歩3分の当店「久成」では、A5等級の中でもBMS10以上のまつなが和牛を、焼肉やすき焼き、ステーキでご用意しています。格付けの意味を知ったうえで、部位ごとの食感やサシの入り方の違いをぜひお楽しみください。ご予約はこちらのWeb予約ページから承っています。

